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2025.07.19 | Comments() | Trackback() |

ハーケン←エリウッド

幼い頃から見知っていたものの一つだった
当たり前のように日常に存在していた
でもだんだんと自分の体と共に幼くとも成長してゆく思考の中で、
それがいつ無くなっても不思議ではない場所にいるのだと
認めたくは無かったけれど、理解しなくてはならなかった。




好きだった
自覚は無くても今思えば

すき だった




いないと もういないと知らされたときでも
漠然としていてただ目をまるくするしか出来なかった
そんな何もかも無にする言葉があるだろうか

全滅
それだけ

ただ、希望がいっこ。残っているだけ。


もういなくなったという喪失感と
どこにいるか分からないけれど生きている
そんな希望





ねぇ















僕はどちらに心傾けたらよかったのか





+++++




「ハ ───」







あるはずのない名前を呟きそうになる



ここに、いまここにいる恐怖と
未知なる明日への恐怖と
なつかしさと愛しさをこめて

つめたくなった
父の腕を握り締める

そういえば自分はこの手が好きだった
頭を撫でられる度自分の存在を確認出来るようで
撫でられる事が無くなっても、
それは憧れと尊敬の対象に変わるだけで



そうして
思い出しそうになるんだ。












いま



おもってはいけない






僕は父への哀しみを捨ててしまうから


すべてを捨ててしまいたくなるから











だから

















「 ぁ───」












呟きそうになる
あるはずのない名前を



++++++


辺り一帯には鉄の匂いと真っ紅な色。

それを隠すように
降り積もるのは真っ白な雪だけ。

そこには敗者と勝者の境界線のように紅く
まるで雨上がりの水溜まりのような
その中心に、勝者は立っていた。


変貌したその敗者は自分もよく知っている
知っている

僕の



「ェリウッド様…‥」




僕の大切な 人






僕の方をみて逃げろと訴えていた君は

動かない体への苛立ちと恐怖を抱えたまま

うごかなくなった




のどが ヒュゥと鳴った






「ぁ──あ───」




膝がガクリと落ち、跪いた瞬間

全身真紅に染まった目の前の勝者は振り向いた





剣が ガシャリと 音をたてる











「────」








呟きそうになる
あるはずのない名前を


そして呟いた





あるはずが無かった

名前を















「──ハーケン」









僕は

剣を握り締めていた


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2006.02.12 | Comments(0) | Trackback() | FE

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