忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2025.07.19 | Comments() |

血のバレンタイン

「アスラン・・・」


自分は彼を知っている。
そんなに沢山ではないが、親同士の付き合いで何度か会った。
お互いをまったく知らないわけではないけれど、
よく知っているわけでもない。

分かっているのは
この目の前にいる人物が、自分の婚約者だということだ。


「・・・・・・」


思い付いたように私を見る目は凍り付いている。
明かりをつけた方がよろしいですわ、と、薄暗い部屋の中
証明のスイッチを手探りしてみたが場所が分からなくてなかなか見つからない。

四苦八苦していると、静かに彼は立って明かりをつけた。




「ニュース 見ましたわ」



何をするわけでもなく、彼は小さく微笑んで
そうですか、とだけこたえた。

その微笑みはひどく気味が悪かった。
こう言っては酷いかもしれないが。

でも気味が悪かった。

何度か見た

あの笑顔と 違う



でもそれは本来いまなら、
いまこの状況ならなにも不自然ではなかった。


そっと乾いた涙の後をなぞろうとすると、彼は一歩私から引いた。
それもある程度予想できた事だ。


「・・・今日は帰っていただけませんか。」


スミマセン とも付け足す心の余裕がないほどに。
言い放たれた容赦ない言葉に少なからずたじろいだ。


自分は

きっと
この人が好きなのだろう。


恋愛感情とは別の所で
人間として、きっとこの人が好きだ。

本当は、本当の意味で愛さなければいけない人。
でもそうやって始めから強制される事に嫌悪は無かった。


理解したいと思う。

この人を




だから、いま離れてはいけない気がしていた。


抱きしめた。



「ラクス・・・!」


抵抗しきれないといった感じで強いけれど
本気ではない力が私を振りほどこうと必死だ。

あからさまに嫌な表情の彼。

それでも彼を最初にすわっていたベットに投げ出すようにこしかけさせた。

普段の私とあまりに違う行動に
しばしアスランは呆然としているようだった。
普段使わない力を一気に使ったせいで息切れた呼吸を直してから、
再び彼の頭をかかえこんだ。やわらかい髪をなでる。


「ラ──・・・」


「そばにいますわ」




ずっと




「貴方が泣きやむまで、ずっとそばにいます…」





それは、多分、きみの為じゃなくて





「ラク  ス  ・・・ ・」





それは







フルエル腕や、


フルエル髪を



ただ



私が



PR

2006.02.19 | Comments(0) | SEED

コメント

コメントの投稿


« | HOME | »

忍者ブログ [PR]