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ネタ帳
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「 は? 」
何か・・・もっとこう・・・
言えたんじゃないだろうか。
思わず落とした缶を勿体ないと
思う余裕さえ無かった。
ただ、呆然と見つめた。
あいつは笑顔のままだった。
「別に隠さなくていいですよ!俺知ってますから」
心なしか、最後の言葉を発する時
藤代の声が低くなったような気がした。
「----・・・・・・」
別に・・・隠すような事じゃないけど・・・。
何故かこいつの笑顔に圧迫感を憶え
喉からうまく声が出ない。
って、いうか。
缶を落とした時点で「ハイそうですよ」って
言ってるようなもんだろ・・・。
「-------ぁ」
何か言おうとした瞬間、俺を呼ぶ声が聞こえた。
「三上。藤代も一緒じゃないか」
「渋沢・・・」
不意をつかれて一瞬焦る。
が、何とか悟られないように明るく応えた。
・・・つもりなんだが・・・
軽く手を上げながらゆっくりと
こちらに歩み寄る。
ふと藤代を見ると、
・・・寒気が した。
嫌悪、とも、無気力、とも言い難い。
とても とても 冷静で
とても とても つめたい 目
ただ、間違いなく、藤代は渋沢を見ていた。
「もうそろそろ昼休み終わるぞ。教室戻らなくていいのか?」
「お前は?」
聞き返すと渋沢は、
ちらっと藤代を見て続けた。
「俺はちょっと藤代に用あるから。後から行くよ」
だから、さき行ってろって笑顔で
渋沢は俺の背中を押した。
俺は藤代を見やる。
あいつは俺の視線に気がつくと
いつもの顔で笑った。
俺はそれを勝手に「また今度」って言ってると解釈して、
少し重たい空気を感じながら教室に戻った。
++***++
「授業・・・始まってますよ」
驚くほど冷めた声で
からかう様に言う。
それがこの人の逆輪にふれる事など判っていた。
先輩は周りに人気がなくなったのを空気で確認して
一瞬、俺をすごい形相で睨んだ。
「どういうつもりだ」
「何がですか?」
にっこり笑って言うと
思いっきり壁に叩き付けられる。
少々の痛みを感じていると
頭の両側に腕が見えた。
正面には顔。
「三上には関係ない」
あまりにもおかしくって吹き出してしまう。
「・・・関係ない?さっきの言葉、そっくりそのまま返しますよ先輩」
真っ直ぐ彼を見ると
腕を強引に振り払った。
「どういうつもりで、俺を抱いたんですか」
「-----------」
先輩の 表情が引きつる。
おかしくって 失笑する
「暇つぶし?」
皮肉のように片頬を歪ませて
息があたるぐらいまで顔を近づけた。
嫌な奴だとは思ってたけど
俺ってこんなに嫌な奴だったんだ・・・
怒りと皮肉と後悔と
いろんなモノが交差する。
次の瞬間、喉元に圧迫を感じた。
爪が食い込む。
でも、息はできる。
「理由。言って欲しいのか?」
冷たくて
凍り付くような
でも、その奥に秘めた怒りがある
目が笑っていない。
首の痛みが引いてゆく。
ゆっくりと手を離すと
先輩は振り返らずに校舎へ消えた。
『 生かさず殺さず 』
何故か俺は
そんな言葉を思い出していた。
2006.02.12 | Comments(0) | Trackback() | モラトリアム
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