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ネタ帳
剣を突き刺した。
それはあまりにあっけなく。
あぁ「殺す」とはこういうことか
あぁ「凶器」とはこのことなのか
と
自分の身を守る為。
自分を生かすために。
どんな事をしてでも
生き延びる為に相手を殺す。
ねぇ あなたは
どんな思いで戦っていたの。
どんな思いで僕に剣を教えたの。
どんな思いで僕を守ってくれていたの。
手から放れない。
でも手のふるえを止める為に剣を強く握った。
まだこんなに剣は冷たく紅いままなのに
腕は確かにふるえているのに
僕の心はなぜこんなにもあたたかい。
2006.02.14 | Comments(0) | Trackback() | 指輪
君の心がここにあるという保証がいったい何処にあるというのだろうか
****
あれからレゴラスは何も変わりない。
それはむしろオカシイぐらい私達の関係は以前のままだ。
相変わらず私が夜中悪い夢を見たり不安にかられるとそばにいてくれる。
何度も抱いた。
レゴラス―もといエルフは元からそういう欲は薄い。
だからひどくそのことに冷めている感は否めないだろう。
「エステル?」
優しく呼び止める声の主を見つけるため振り返る。
寝起きのレゴラスは乱れた髪を手で直しながら歩み寄ってくる。
「今回はいつまでいられるんだ?」
私はとりあえず髪をととのえてやる事にした。
****
淡い月明りにぼんやりと目を覚ます。
薄いカーテンがひらひらと揺れていた。
窓があいているからだ。
俯せになっていた体を無理矢理おこしてみる。
肌寒く感じ、放ってあった薄手の毛布をまといベッドから降りた。
「眠れない…?」
バルコニーで月を見ながらぼーっとしていたエステルの隣りに立つ。
彼はふと気付いて私を少しだけ見下ろした。
「あぁ……起こしてしまったか?悪い事をした」
「いいよ別に」
毛布一枚だけを羽織った私を見て彼は苦笑した。
「…歌をうたってくれないか」
「 ……?え…」
「眠れないんだ」
突拍子もない物言いにしばし呆然とする。
ニヤっと笑った後私はエステルに軽々と持ち上げられた。
彼はバルコニーにある椅子に私を座らせ、腰に腕をまわして座り込んだ。
ちょうど膝枕をしているような感じだ。
「はやく」
いつまでも呆然としている私にエステルが催促してくる。
少しの期待がはいった声。
「しょうがないね…エステルは」
愛しさを添えて苦笑すると、小さく笑う声がした。
「リクエストは?」
「レゴラスの好きな歌」
「ずいぶん抽象的だね。いいの?」
「君が好きな歌は私も好きだ」
淡く笑い、様々な歌をうたった。
エルフの子守歌。婚礼の歌。
どれも優しくやわらかい歌。
風でなびく髪をなでながら歌いつづけた。
月明りを食べているかのように空を仰ぐ。
ふと
「……レゴラスは月みたいだ」
小さく聞こえる押し出されたような声。
「どういう意味?」
拗ねたような怒ったような口調で問う。
「いつも一人でそこにある」
「けして一人ではないのに」
「様々な惑星が消えても、ただ一人でありつづける」
「とても綺麗で──似ている」
私が 月?
それはきっとエステルの中の私なのだろう。
よくよく考えると、とても恥ずかしいその言葉。
でも、それはなんだかくすぐったいぐらいに嬉しい。
孤独な月。
前にもどこかで聞いた事がある。
───そう。吹き抜ける風のように人は死んでしまう。
人だけではなく。私達の種族以外は全てが、全てがいつかは。
いつかは
じゃあ
君もいつかは
私をおいていくね
「レゴ………ラス…」
一つ一つ。
私の感情を彼に伝えるように冷めた光が頬をつたう。
「──────っ」
おさえきれない涙に顔を手で覆った。
エステルの──もう私と変わりない大きさの手が私の腕を掴む。
涙の向こうで優しく覗きこまれているのがわかった。
「すまない……―どうしたんだ?…エルフに涙を流させるなんて私はなんてことを」
「違う もういいんだ」
「…もう いいんだよ」
「………なぜ…?」
苦渋に満ちた哀しい表情で私を見る。
やめて
そうだ。それは最初からわかりきっていた事だ
「……だって私は 君がいなくなっても 生きるんだろう─?」
止められない。言ってはいけないのに
「君がいなくなっても──私は1人で生きるんだ──」
それが宿命というやつだ
「だったら────もういいんだ 」
「君を 放すよ」
別にいいのだと思っていた。
この長く永い永久の命をすごすのに、
魂をけずる行為さえ私には暇潰しに思えた。
自分以外の生命そのものにどこか疎外感を感じずにはいられなかった。
だから[あれら]と[私]は違うものなのだ と思うことで
私は
あわれんでいた の かもしれない
「 私は 独りでも生きて行くから」
どうか
それは去り行く運命にあるものに対する最大の嫌味だ。
永遠の命をもつ者の傲慢だ。
どうして「いつまでも一緒にいたい」などと言えるだろう
「─────。」
エステルは酷く傷ついた顔をうかべた。
本当にこの世の終わりでも見たかのような顔を。
目を見開いて息をのんで
思わず掴まれた腕を乱暴にふりはらう。
「ぁ───…ごめ───」
私は立上がり服を持つと逃げるようにして部屋から出た。
ドアをしめる間もなく。
行き場をうしなった扉が風にゆれるのを感じた。
壁にずるずる滑り落ちる
なにもかも
涙も体も心も思いも
ただ 君が好きで
思いを押しつぶしてもなお溢れる君に
泣いた。
2006.02.12 | Comments(0) | Trackback() | 指輪
後を引くこの思いは
「………―っ…が……ぇ」
真夜中にあまりにも不愉快な音。
レゴラスは先刻エステルの部屋を彼に気付かれないように出た。
そして自分の部屋に戻るやいなや口から吐きだした。
今日口にしたものがもう原形をとどめていない。
胃液まで全て吐き出したかのような勢いで咳き込む。
ようやく落ち着いた時また小さく咳をした。
最近はこんなことばかりだ。
はぁ と溜息をついた。
ときどき堪え切れない。気分がいいときは大丈夫なんだが。
彼の熱を知る度に彼に触れる度に降り積もる「何か」。
それに耐え切れないのか体は拒否し続ける。
一体なんだというのか
彼を拒絶している訳ではない。それは分かる。
なのに
なぜ
体の振るえもとまらない…。
*****
「貴方はかわってゆくね」
久しぶりに会ったエステルの背中にポツリと問い掛ける。
最後にあってから1週間ぐらいだろうか
最近時間の流れがさらに麻痺しているのではないかと思う。
それは遅く感じるようになったのか
それとも
ねぇそれは どういう事?
「背がのびた」
「それは…喜んだ方がいいのか?」
彼はテラスのソファーに座っていた私の後ろに立ち、私の髪をもてあそんでいる。
「なぜ?自分が成長したということでしょう」
振り返り少し上目に見つめた。
サラリと髪が揺れた。
「君は嬉しくなさそうな顔をしている」
額をあてられ、人の温かさを感じ少し目を細める。
「…………そんなことはない。本心だよ。君が頼もしくなるのは望ましい事だ」
「もしかしてもう背で君をぬいた事を怒っているのか?」
「……そんなの今更でしょ?」
私は呆れたように失笑すると啄むように彼の頬に口ずけた。
「いつから なんて忘れたな」
私からのキスに驚いたような顔をしつつも
恥ずかしくも嬉しいといった表情で前屈みになり私の額に唇を落とす。
座っていたソファーが音をたてて少し軋んだ。
*****
ギシ。
いつものように彼に気付かれないようベットから出る。
エステルは終わったらすぐに寝てしまう。
だから起こさないようにといつも神経を使って抜け出さなければならなかった。
しかし私は彼の寝顔が好きだった。
除きこむその瞬間が楽しくて仕方がなかった。
でも
今は抜け出さなければならない。
彼の部屋を私の吐瀉物で汚す訳にはいかない。
ドアをパタリと閉めると、途端に吐き気が襲った。
這ってでも自分の用意されている部屋に戻ろうとしたが、
耐えきれず床を汚した。
日に日にその重みが増している気がする。
蓄積されるドロドロとした思いを押し出されるようで。
あぁ
汚した床を服で拭う。
何度も何度もこすってははがれない。それは人の子の痛みのようで。
苦しい
でも涙はどうしようもなく
どうしようもなく出て来てはくれなかった
このこびりつくような痛みの名前を私は多分知っている。
いえない
いえないんだ
好き
とか
大切
の分だけ降り積もる。
君に言ってはいけない
いけない
そんな
気がしていた
2006.02.12 | Comments(0) | Trackback() | 指輪
別にいいのだと思っていた。
この長く永い永久の命をすごすのに、
魂をけずる行為さえ私には暇潰しに思えた。
自分以外の生命そのものにどこか疎外感を感じずにはいられなかった。
だから[あれら]と[私]は違うものなのだ と思うことで
私は
*****
それは少し肌寒い日だった。
私は父からの預かりものをエルロンド卿に渡すために裂け谷へ来ていた。
いつもどおりならば、私が来たという報せを聞きエステルが飛んでくる
が
今日はなぜだか遅かった。
少し顔色もわるく見える。
しかし本人は義理父の手前つとめて明るく振る舞っているようだった。
エルロンド卿は大変心配性だから。
だから私もあえて口には出さずにいた。
あの子がそう気遣っているなら今ここで言うまい と。
別に気に止めなければ気にならない程のささいな変化。
エルロンド卿がその場を去った後、
「どうした?」と小さく尋ねたが、エステルは顔を横に振るだけだった。
私を避けているようにもみえた。
苛立ちと共に少しこころが傷んだ。
****
ガタン。
その夜。私は本を読んでいた。
静かな空気を破り去るようにドアをあける音がする。
さして驚きもせず本から扉へ目線をうつした。
「エステル?」
扉を開け、入って来たのは昼間どこか調子の悪いようだった、
まだ幼さが残る人の子だった。
が、昼間に増して顔色が悪いように見える。
なにかに怯えているようにカタカタと震えている。
尋常ではないその様子に私は彼にかけよった。
肩に手を置いて覗きこんでみる。
「やはり…何かあったのかい?話して───」
瞬間
私の視界は反転した
背中にはつめたい床の感触がある。
目の前…というか私の頭上には、
さっきから苦しそうに顔を歪めている子ども。
とつぜんの衝撃に見開いた目を優しく細める。
「エステル…重いよ…」
頭をなでる。
突然なにかが弾けたようにエステルは大きな声で言い出した。
「俺は────どうしたらいいか判らない…!!」
「どうしたら──っ」
「だってこんな…きっと俺はオカシイんだ──」
「エステル…!まってくれ…おちつこう…私は全て聞くから…」
あまりにも切実に訴える彼をとりあえず落ち着かせようと頭を抱えた。
エステルは一瞬体をびくつかせた。
声は、ぴたりとやんだ。
しかしエステルの体の震えはまだ少し残っている。
「エ───…」
「───あなたがすきだ」
「 あなたを ダ キタイ 」
ゆっくりと。
頭を抱えていた腕を放す。
見開いた目をおさえるようにして片腕を自分の胸元に寄せた。
「それが……君が今日私を避けていた原因…?」
彼は俯いたままそれ以上なにも喋らなかった。
ひどくさめた感情の自分がいる。
目の前の人の子は、きっと自分が異常なのではないかと相当な時間くるしんだのだろう。
その原因が私なら
それだけで
この子が
わらってくれる なら
「いいよ…もう悩まなくていいんだ」
「私をあげる───だから わらって──」
彼の額にくちづけた。
2006.02.12 | Comments(0) | Trackback() | 指輪
いずれ来るかもしれない死はこわくはない
こわいのは
まだ泣いている エステルをおいていくことになる
私は
それがこわいよ
****
「私でいいならかわりになろうか?」
いま なにを言った ?
鈴をころがすよりも かるく
波紋をつくるように たやすく
いったいこのエルフは何を口走ったのだろう
「何を……いって…」
「私で不足なら…別に」
「違う!そうではない!
そうでは……―」
おもわず肩に掴み掛かった手から力がズルズルとぬける。
ふとうまれた疑問。
「君は―――誰にでもそうやって自分をさしだすのか?」
自分はいまきっとひどい顔をしている。
信じられないという顔をしている。
この人の寛大さに甘えていたあの頃の顔をしている。
きっと
「…………。あなたでなければ言いはしない」
きっと
「―――――…。」
手をのばす。
しずかに 手を
為されるがままレゴラスは目をとじた。
今この手の中にあるのは
あの時あれほど欲していたものなのに
みえなくなる
なにも
こわしたい
この人の感情も気高さも
むかしから知ってる総てを
わたしが
でも どうして?
ふれることが
こんなにもこわい
なんて
今更 矛盾した思いに気がついて
それでも
あぁ
おしつぶした思いをひろいあつめるぐらい
こころが裂けて悲鳴(コエ)をあげるぐらい
どうしても
どうしようもなく
しろい こころで
あなたが すきだ 。
「やめてくれ…お願い だから」
「でも…」
「いいんだ…もういいから…いいから――だから―…
ただ そばにいてくれ」
目の前のこの人は
月を背にやはりキレイで
私の
消え入りそうなほそいコエに
やっぱり
消えてしまいそうなぐらい
キレイにほほえんだ。
「しょうがないね」
その笑顔があまりにつきあかりと闇にとけて
君が消えないようにと
うでをつかんだ。
****
「君は―――誰にでもそうやって自分をさしだすのか?」
言葉につまった。
自分はきっと
それで誰かのこころが一瞬でもまぎれるのなら
たったそれだけで
と 。
きっと
あなたでなくても
この言葉が喉を通っただろう。
でも
「…………。あなたでなければ言いはしない」
泣きそうな
あの頃となんら変わりない独りの人間
彼は
もし私が死んだら
なくのだろうか
もし彼が死んだら
私は
2006.02.12 | Comments(0) | Trackback() | 指輪
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